妊娠中のペットとの生活体験談~安全に飼うための12の注意点
妊娠中はペットの存在が癒しになり、イライラが解消さると感じる妊婦さんもいますが、犬や猫などのペットは様々な病原体を持っているので、胎児を危険に晒すこともあります。
こちらでは犬や猫などのペットから感染する病気、妊娠中にペットと暮らすにあたっての注意点、妊娠中にしておきたい赤ちゃんのためのペット対策、妊娠中にペットを飼っていた妊婦さんの生活体験談をご紹介します。
妊娠中だからこそ注意すべきいくつかの点に気を配りながら、無理せずのんびりと愛するペットとの生活を楽しみましょう。
妊婦4コマ漫画~妊娠中のペット

胎児に危険も!?ペットから感染する病気
ペットから人に感染する病気「動物由来感染症(ズーノーシス)」。妊婦さんだけでなく全ての人が病原によっては命の危険があるものも多く、厚生労働省もハンドブックを作成して注意喚起を促しています。
妊娠中はペットから感染することにより胎児を危険にさらす病原体もあるため、国立感染研究所や各自治体からも注意喚起されているのです。
お腹の赤ちゃんを動物由来感染症から守ったりママ自身の健康や命を守ったりするためだけでなく、産後の子育てやペットと仲良く暮らしていくためにも、ペットから感染する病気についてよく理解しておきましょう。
1トキソプラズマ症

トキソプラズマと呼ばれる原虫(小さな寄生虫)によって引き起こされる感染症。猫を飼っている妊婦さんは、特に注意が必要です。
妊娠中に母親が初めて感染することで、胎児が先天性トキソプラズマ症に感染すると考えられています。トキソプラズマ症は妊娠初期ほど重症化しやすいのですが、妊娠が進むほど胎児への感染率が上がります。
胎児が先天性トキソプラズマ症に感染すると、お腹の中で命を落としてしまうこともあります。たとえ無事に生まれてこられたとしても、その後次第に水頭症や視力障害、神経運動機能障害などの症状を引き起こす恐れがあるのです。
トキソプラズマの人への感染源3つ
- 猫のフン
- 充分に加熱処理されていない肉
- 土いじり
砂場遊びやガーデニング等の猫の糞がありそうな土砂は、素手で触らないようにしましょう。ちなみにネコ科の動物以外からトキソプラズマに感染することはありません。(注1)
2狂犬病
狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり引っ掛かれたりすることで、傷口からがウイルスが侵入し、発症すれば100%命を落とすとも言われています。妊婦さんや胎児だけでなく、全ての哺乳動物が感染する病気です。
主に感染した犬に咬まれることで感染する病気ですが、国内では現在狂犬病はなったと考えられています。ただし2006年にフィリピンで犬に噛まれてワクチンを接種しなかった男性が、日本に帰国後に発症しました。
3エキノコックス症

エキノコックスはキタキツネに感染している寄生虫です。潜伏期間はおよそ10~15年ですので妊娠中に感染しても基本的に発症はしませんが、寄生されると重い肝機能障害などを引き起こしますので、自分のためにも家族のためにも注意が必要です。
もともと野ネズミ駆除などの目的で北海道に移したキタキツネに感染していたと考えられています。何らかの形で口から体内に虫卵を入れてしまうと、体内に寄生されてしまいます。
キタキツネといえば北海道。そのため本州の妊婦さんは安心だと思っているかもしれませんが、実は青森県、埼玉県、愛知県など本州でも発症が確認されていていますので、本州は安全だというのは一昔前の考え方だという専門家も。
野山に放し飼いにした犬や猫が、エコノックスに感染したネズミを食べて感染する恐れもあるため、本州の妊婦さんも油断大敵です。(注3)
4コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
犬や猫などの動物からコリネバクテリウム・ウルセランス菌と呼ばれる細菌が感染する、動物由来感染症です。最近では国内でもペットからの感染がニュースに取り上げられるなど、ペットを飼っている人に注意が必要な感染症です。
呼吸器に感染した場合、咳やのどの痛みなど風邪の初期症状が起こり、重症化すると命の危険もありますので注意しましょう。
5その他の主な動物由来感染症
他にも動物由来感染症は色々とあり、犬や猫だけでなく鳥などからも感染します。妊娠中は薬の使用制限もあるため、ペットからの感染症には気をつけて生活しましょう。
- 猫ひっかき病
主に犬や猫から感染し、発熱や脳炎を引き起こす - オウム病
主にインコや文鳥から感染し、発熱や肺炎を引き起こします - カンピロバクター腸炎
主に犬・猫・小鳥から感染し、食中毒や胃腸炎を引き起こす - Q熱
主に猫から感染し、発熱や頭痛、肝炎などを引き起こす
妊娠中にペットと過ごす際の12の注意点

妊娠中はペットから細菌や寄生虫をもらって感染するのが心配でしょうが、次のような注意点を守ることで、ペットと楽しく暮らしている妊婦さんも大勢います。
むやみに不安になる必要はありませんが、夫にも協力してもらって妊娠前よりもペットと過ごし方に気をつけるようにしましょう。
ペット由来の感染症を防ぐための注意点
- キスや口移し、箸の共用など濃厚な接触をしない
- 手洗いをしっかりと行う
- 動物の飼育環境はできるだけ清潔にする
- 犬のブラッシングなどはこまめにする
- 犬の登録や予防接種を毎年きちんと行う
- 犬をエキノコックスがいそうな野山に離さない
- 猫のトイレは毎日交換し、トイレ掃除はできるだけ妊婦以外の人が担当する
- 妊娠中に猫のトイレ掃除をする場合は、手袋やマスクで感染予防をする
- 猫は外に出さない
- 室内で鳥を飼う時は、こまめに換気をする
- 野生動物は室内で飼育しない
- ペット由来と思われる体調不良を感じたら、早めに病院を受診する
妊娠中のペットとの生活体験談
動物由来感染症について知ると不安になる妊婦さんもいるでしょうが、妊娠前からペットを飼っていて、妊娠中もペットを飼い続けている人は沢山います。
妊娠中にペットを飼うことはデメリットばかりではなくメリットもあります。むやみに不安がらずに先輩ママさん達の妊娠中の様子を教えてもらいましょう。
犬
犬は子供によい影響を与えるため、子供が生まれてから犬を飼い始める人も多いです。
妊娠中は犬のニオイでつわりがキツイと感じる妊婦さんもいますが、つわりが終わってからは犬のお蔭でストレス解消ができたなどのメリットもあるんです。
ペットのにおいがだめだった。
子供の頃から飼っていた大切な犬を結婚してからも連れて行き、一緒に過ごしていました。子供の時に「どうしても犬が欲しい!絶対にお世話をするから!」と約束して、両親に買ってもらいました。私の宝物です。
妊娠がわかってからすぐつわりが始まりました。つわりではニオイに敏感になり、ペットのニオイには特に反応してすぐに吐いてしまうようになりました。
我が家の犬は主人にもとても懐いていたので、つわりが落ち着くまで主人にお世話を頼みました。何もしてあげられなくて心が痛くなりましたが、近寄って尻尾を振ってくれるので、それだけで救われました。
つわりが落ち着いてからは前と同じようにお世話をしていましたが、一段と甘えん坊になりました。ペットは愛情を感じないと生きていけない生き物なので、可愛がる気持ちを忘れなければ大丈夫です。
においつわりがあると愛犬の世話が大変だった
私が子どもの頃に実家でも犬を飼っていたので、ペットを飼育するなら絶対犬と決めていて、その通り妊娠前から犬を飼っていました。つわり時期はトイレの掃除中の臭いが辛かったです。
でも私がつわりでぐったりしていると、気遣うような顔で見てくるところには癒されて、ペットがいてくれて良かったと思いました。
猫ではないですが、念のためトキソプラズマへの感染には気を付けていました。トイレの掃除や処理は必ず手袋を二重にして、すぐに手を洗うようにしていました。ペットとの外遊びの時も土を触らないように気をつけていました。
つわりや重くなる体でペットの世話は大変に思うかもしれませんが、体に無理のないようにやれば大丈夫です。そしてペットと共存するための部屋作りは少しずつやっておいたほうがいいですよ。
自宅安静でもこっそりお散歩

妊娠前から一目惚れして我が家に来ることになった犬を飼っていました。妊娠中はつわりでフードの匂いがダメになり、日課のお散歩に行かないと気が済まず(私も犬も)、無理をしてしまいました。
妊娠中は気持ちが不安定になることが多かったけど、気が付けば犬が隣に寄り添ってくれていました。私は犬に対して妊娠前と変わらない生活を送るように気をつけていましたが、何か察したのか甘えん坊に拍車がかかりました。
妊娠中は思うように身体が動けなくなることもあります。出産や産後の生活への不安もあるでしょう。お散歩に行けなかったり、遊んであげられなくなったりすることもあると思います。
それでもペットはあなたのことが大好きです。なので、大好きな気持ちやこれから赤ちゃんが産まれてくること、その他なんでも沢山話しかけてあげて下さいね。話しかけられるだけでペットは喜ぶし、ちゃんとあなたの話を聞いていますよ!
妊娠中の室内犬との接し方
妊娠前から小型の室内犬を飼っていて、実家でも飼っていたので夫婦二人では寂しくて飼っていました。
妊娠するとペットからトキソプラズマの感染が不安でしたが、初期の血液検査にて抗体が確認できたので、あとはアレルギーなどが発祥しないよう、散歩の後に洗うなど工夫をして一緒に過ごしました。
布団やソファの除菌など衛生面に気をつけました。妊娠中の散歩はきつかったのですが、適度な運動にもなるし、主人や近距離に住んでいる親の手を借りながら過ごしました。
お腹が大きくなるにつれ犬も何かを感じていたのか、お腹に寄り添ってくれました。出産に備えてベビーベッドやペットホテルなどの準備は必要ですが、あとは特に心配せずに過ごすことが大切です。
妊娠中愛犬に助けられた
妊娠前から愛犬2匹と暮らしていました。家を建てた際に昔からの夢だった犬を飼い、仕事をしていたので寂しくないように2匹目も飼いました。愛犬を飼い始めてから2年後に妊娠。つわりもひどくなかったんですが、一時期だけ愛犬の匂がダメになりました。
その時はシャンプーカットの回数をいつもより増やしました。田舎なのでどこに行くにも車ですが、愛犬が居るから適度な運動、散歩などが毎日できて体調管理は出来たと思います。
お腹が大きくなってきた頃は、お腹で寝ていた愛犬を乗せなくなったので、少し機嫌が悪かったです。その分いっぱい撫でて抱っこして、愛情表現していました。
愛犬にも性格があって、1匹はあまり変化が見られず、もう1匹は赤ちゃん返りみたいに排泄を違うところでしてみたり、ご飯を手からじゃないと食べなかったりで、赤ちゃんが生まれて来てからを心配していましたが、大丈夫でした。
産まれてからは赤ちゃんを守るように知らない人が触ろうとすると威嚇し、泣くと吠えて教えてくれました。ペットがいると大変、心配などあるかと思いますが、あまり神経質にならずのんびり過ごすのが一番だと思います。
愛犬と散歩が出来ない時の申し訳ない思いと辛さ

妊娠する前から室内でミニチュアダックスを飼っていました。妊娠してもリスクがあるとは分かっていても、そのまま室内で一緒に過ごしていました。
元々、掃除が楽なようにと毛が短い犬が買いたいと決めていたのですが、犬種も飼う時期も未定の時に突如、知り合いからの頼みで我が家にやってきました。
賢い子なので毎朝同じ時間に起こしにきてくれるのですが、つわりで寝付けなかった日の朝もきちんと起こしてくれて、リードをくわえて待っているので可哀想なのと、しんどいのとでかなり辛かったです。
散歩に行けず私がソファに座ると、今までは飛び乗って来ていたのに、一度ソファに飛び乗ってから、そっと膝の上へやって来ては、お腹に鼻をつけたり耳を済ませて聞いてみたりしていて和ませてくれました。
それでも食事中はゲージに入ってもらい、濃い接触はしないように気を付けなければならず、寂しい思いをさせていました。赤ちゃんとお腹越しにやり取りをしているのかなと感じるような仕草を頻繁に見せていたのですが、私の体調が良くないと思って、少し動くだけでも顔を上げて確認してくれていました。
ペットがいることでリスクがあることは間違いありませんが、病院でもきちんと伝えて、ペットときちんとした距離を取ることでメリットもあります。意味もなく不安になり泣いた時に、この子がいなかったら落ち込みっぱなしでした。私はいて良かったと思っています。
猫
猫も犬同様に、出産後は子供に良い影響をもたらしてくれることが多いペットです。
妊娠中のペットで一番心配されるのが猫によるトキソプラズマですが、注意を守って一緒に過ごしている妊婦さんは大勢います。
ただし、妊娠してから猫を飼うことを検討しているのであれば、お世話がしっかりと出来るかどうかを熟慮することが大切です。
猫の匂いが辛かった
私が妊娠初期に、主人が知り合いの家からメスの猫の赤ちゃんを連れて帰ってきてしまい、しぶしぶ飼うことになってしまいました。主人は仕事に行くので、日中は妊娠中のためつわりで気分が悪い中、おトイレの砂のお掃除やお手入れがとても辛かったのを覚えています。
爪が長くなると壁を引っ掻いたりカーテンにぶら下がったりするので、爪切りの作業も大変でした。逃げ回るのでヘトヘトでした。
トキソプラズマという菌に感染しないかも心配だったので、念のため産婦人科で検査をしてもらいました。その後、無事に赤ちゃんを出産して健康に育っているので問題はなかったです。
妊娠中にペットがいてくれて良かったことは正直あんまり無いかもしれません。よっぽど猫が好きな方なら妊娠中も安心して飼えるんじゃないかなと思います。
トキソプラズマに感染しないように注意しました。

妊娠前から猫を1匹飼っていました。外には出さず部屋の中だけで飼っていて、8歳ともう成猫なので寝て過ごすことが多く、妊娠発覚後もお世話が大変と思うこともなく以前と特に変わらない生活をしていました。
ある日ニュースを見ていて妊娠中にトキソプラズマに感染すると胎児に奇形などリスクがあることを目にし、不安に思った私は健診の際に実費でトキソプラズマの検査をしてもらいました。
結果は陰性で「これから感染しないように気を付けましょう」とのことでした。土いじりや生肉そしてトキソプラズマの菌を持った猫の糞などから感染する可能性が多いと聞いたので、猫を感染させないように外にださないようにしたり、清潔にすることを心がけたりし、私は手洗いを徹底しました。
その後無事に出産し、今では猫が赤ちゃんのことをそばで見守る光景に癒されています。
つわりがひどい時から新生児の頻繁授乳の時、気づけば側に猫が寄り添ってくれて、私の心強い味方です。私は妊娠前から飼っていたパターンですが、もし妊娠中でこれからペットを飼おうと考えている方がいたら、自分がしっかりお世話が出来るかどうかをきちんと考えてからが良いと思います。
猫のアレルゲンが大丈夫か心配だった
妊娠前から猫を三匹飼っていました。猫を小さいときから飼っていたので、結婚してからも飼い続けています。猫は引っ掻くし、猫のヨダレにはアレルギーの元があると聞いてからは、子供に影響とかあったら怖いなって感じがしていました。
それにうちの子は人間にベッタリな猫で、犬のように顔を舐めるし常に膝の上が大好きなので、なかなか降りたがらないのも苦労しました。だから触ったら手洗いうがいを徹底しましたし、トイレの処理は旦那にしてもらっていました。
猫に私が妊娠していると分かったかは分かりませんが、スリスリしてくる回数はあまり変わらなかったけど、お腹の上ではよく寝ていました。胎動で動いていてもお構い無しでした。
産まれてくるまではペットを飼っていてもそうじゃなくても心配なのは同じだから、無理をしない程度にペットと関わっていけば大丈夫だと思います。
ウサギなどの小動物
妊娠中はうさぎで心が癒された

私は妊娠中にネザーランドドワーフのうさぎを飼いはじめました。もともとうさぎが好きでいつか飼いたいなと思っていた時に、たまたま買い物で立ち寄ったホームセンターのペットコーナーにネザーランドドワーフのうさぎがいました。友達も知っている人もいないところに嫁いで寂しく、また一目惚れだったので飼いました。
妊娠中はつわりであまり動けない時に、うさぎのトイレや小屋の掃除をするのが臭いもキツいし、小屋を動かしたりするのも大変でした。ただ妊娠して仕事を辞めてからは友達もいなくて寂しかったので、うさぎがいたことでとても心が癒されて、寂しい思いをせずに過ごすことができました。
妊娠中に動くのが辛い時などは、主人にうさぎと遊んだりお世話をしてもらったりし、うさぎが寂しい思いをしたりストレスが溜まらないように気をつけていました。
妊娠中にペットを飼うことを不安に思う方もいるかもしれませんが、私は生まれてくる赤ちゃんと一緒で新しい家族が増えて賑やかになって、充実した生活を送ることができました。
妊娠中は赤ちゃんのペット対策を忘れずに
妊娠中は赤ちゃんを迎える準備も必要ですが、赤ちゃんは大人に比べて動物由来感染症にかかりやすいため、ペット対策ができるように住環境を整えることも大切です。
- 空気清浄機を使用してアレルゲンを取り除く
- 赤ちゃんと猫の居住スペースを分ける
- 犬の基本的なしつけ、ペットの予防接種は済ませておく
- 赤ちゃんはベビーベッドに寝かせる など
また産後は赤ちゃんのお世話でペットのお世話が疎かになりがちですが、ペットのストレスを減らして赤ちゃんの住環境を清潔に保つためにも、ブラッシングやシャンプー、トイレ掃除などのペットのお世話は大切です。
パパと協力して、ペットも飼い主も赤ちゃんも心身共に健康でいられるように心掛けましょう。
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参考文献
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- 注2:
- 注3:
- 注4: